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Eminem / Recovery

Recovery


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  リリース日:2000/06/21
  レーベル :Aftermath / Shady
  Ex-Prod.:Dr.Dre
  客演客演 :Kobe, P!nk, Lil Wayne, Rihanna
  制作参加 :Just Blaze, DJ Khalil, Mr.Porter, Boi 1da, etc.

  評価:★★★★☆☆☆☆☆☆



昨今、度々報じられているCDセールスの落ち込みも『世界中で最も売れている男』ことエミネム(Eminem)には無縁のようだ。初登場1位が確約されていたエミネムの新作"Recovery"だったが、米国でのセールスが当初予測より10万枚以上も多い74万1,000枚のセールスを記録。今週2位にスライドダウンしたドレイク(Drake)の"Thank Me Later"に60万枚近い差をつけてのアルバム・チャート制覇となった。また同時発売された日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、スイスでもそれぞれにアルバム・チャート1位を獲得しており、世界的な人気ぶりを改めて印象づけている。



 当然といえば当然の結果なのだが、この通算6作目となるアルバムも全米1位を獲得し、インディー盤の『Infinite』を除く全てのアルバムでビルボードのトップを飾ったEminem。先行シングルだった《Not Afraid》がヒットした時点でアルバムの売上も確約されていたようなものだし「白人である」という人種的なコンプレックスをアドヴァンテージにしたほどの実力があるのだから、売れないほうがおかしい。 もともと『Relapse 2』のタイトルでアナウンスされていた本作は、これまでDr.Dreか本人がすべての曲をプロデュースしていた元来のスタイルと決別し、Just Blaze, DJ Khalil, Jim Jhosinといった外様大名たちと組み、初めてブラック・ヒップホップ(そんな言葉があるかは知らないが)の枠組みに入り込もうとするアルバムだ。ゲスト陣もKobe, P!nk, Rihannaと初顔合わせとなるアーティストを招いている。もっとも、その組み合わせが必ずしも成功しているとは言えないのが、この作品のネックにもなっているのだが。
 もともとEmの音楽は、クラブで踊ることを目的にしたそれとは少し違っている。いわゆる「デトロイト・ビート」というのは、90年代のDreの得意技(困った時の逃避手段とも言う)だった、ビートとベースラインをこれ見よがしに強調するもので、Emはそれをさらに白人向けに“改良”した。というのも、アメリカでヒップホップの売上を実質的に支えているのは、黒人ではなく白人なのだ。彼らが好きなのは、例えばJames Brownが発明したファンクのような難解めいた音楽ではなく、大げさな展開とオーケストレーションで鼓膜をつんざくような音楽であり、要するに『The Marshall Mothers LP』や『The Eminem Show』の頃に確立されたEmのようなトラックなのだ。そしてそれはUKや日本人の耳にもよくなじむから、世界中で安定した売上を維持してきた。
 実際、Boi Ida(Drakeの世話係)が手がけた先行シングルの《Not Afraid》は、このアルバムのコンセプトから考えればむしろ保守的で、これまでの作品と何が違うのかよく判らない内容になっている。仰々しいストリングスとドラムロールに迎え入れられたEmは、いつぞやの《Lose Yourself》か《Like Toy Soldiers》よろしく自身に振りかかる不幸とそれを乗り越える精神を常に持ち続けろと熱弁し、フックはラップするのではなく歌う。逆に言えば、Boiのトラック・メイキングの柔軟性を証明する楽曲ではあるのだが、例えばEm自身がこのトラックを作れなかったのか、という問に頷くことはできない。
 アルバムは終始こんな煮え切らない感情が付きまとう内容。例えばアルバムの幕開けとなる《Cold Wind Blows》や《On Fire》での病的なキーボードのリフはDreの二番煎じだし、流行りのロックを取り入れた《Talkin' 2 Myself》や《Won't Back Down》なんかは『The Eminem Show』で既に実践済みの手法(Aerosmith《Dream On》を使った《Sing For The Moment》)を繰り返しているに過ぎない。
 前述の《Not Afraid》を過ぎた後半部分にしても同じで、Lil Wayne(彼のロック・アルバム『Rebirth』でコラボレート)とかつての恋人を痛烈に罵倒する《No Love》は、Blazeによるサウスのフライト・バウンスが上手く活かされているし、《Cinderella Man》は装飾音を削ぎ落したシンプルな楽曲に仕上がっている。その一方で《Space Bound》や《25 to Live》のように使い古された手法もチラホラ見受けられるし、Dreは相変わらず《So Bad》で生気のないビートを提供している。アルバムからの2ndカット《Love The Way You Lie》あたりは個人的に好きだけど、これも白人ロックの公式に乗じた成功例のひとつに過ぎない。それなら、シンセサーザーを多重配置したエレクトロ・バウンスの《You're Never Over》のほうが、音楽的な成長という点では評価できる。
 Emのライムは相変わらず技巧的で、聴けば聴くほど癖になる魔力を秘めているし、どんなトラックにも対応できることを証明している。本人曰く「前作で俺はライムだけに集中できる環境が気に入った。もっと早くからこうしていればよかった」とのことだが、Slim Shadyというオルター・エゴを失ったEmに必要なのは、アイディアの“代弁者”ではなく、全く新しいアイディアを持ち込んでくれる“発言者”ではないのだろうか。


テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

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ブラック・ミュージックを聴いていたりエロゲーをやっていたりするバーテンダーです。批評は基本的に辛口、読んでムカつくこともあるかと思いますが、正直なレビューを心がけていますのでご了承ください。コメント/トラックバックはお気軽にどうぞ。リンクもご自由に。

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