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【推薦】Big Boi / Sir Lucious Left Foot... The Son of Chico Dusty

Sir Lucious Left Foot... The Son of Chico Dusty
  Visit Official Site

  リリース日:2010/7/6
  レーベル :Def Jam
  Ex-Prod.:Antwan Andre Patton (Big Boi)
  客演参加 :Sleepy Brown, Vonnegutt, T.I., Jamie Foxx, Too Short
         Geoge Clinton, B.o.B., Sam Chris, Gucci Mane, etc.
  製作参加 :Organized Noize, Jbeatzz, Salaam Remi, Scott Storch
         Andre 3000, Lil Jon, DJ Speedy, etc.

  評価:★★★★★★★★☆☆





 おそらく多くのヒップホップ・リスナーが首を長~くして待っていたであろうOutkastの片割れ、Big Boiのソロ・アルバムが、ようやく陽の目を見た。このソロ作リリースにおいて古巣のジャイヴと揉めた挙句に離脱、その移籍先が天下のデフジャムなのだから、このMCの愛されぶりがよくわかる。ただし、Outkast名義でありながら実際は各人のソロ・アルバム2枚組という内容だった03年の名作『Speakerboxxx / The Love Below』から7年ぶり、グループとしてのアルバムでも、前作『Idlewild』から4年ぶりとなる今作のリリースは、すんなり運んだわけではない。アルバムのテーマとしてジャイヴが提示してきたものと、Boi本人が望んだそれがあまりにかけ離れていたことから起きた軋轢は、ご存知のように彼に破格の待遇を提供していたジャイヴを捨てる道を歩ませた。そこからも相方のAndre 3000をソロ作に参加させないなどの厳しい条件を提示され、明確なリリース日すら発表されないまま月日が流れ、結局Andreは《You Ain't No DJ》のプロデュースにのみ参加という形に落ち着いた。ところが驚くべきことに、このアルバムは今年のヒップホップでも指折りの出来に仕上がっているのだ。
 自らがエグゼクティヴ・プロデューサーとして指揮を執ったアルバムで、Boiはこれまでのように作品をしっかりとまとめあげている。新人/大御所が入り乱れるゲスト/プロデューサーの大挙にあってなお、である。まずここに、Boiの魅力のひとつめが潜んでいる。というのも、ヒップホップのみならずファンク、ロック、エレクトロニカといったジャンルを積極的に取り込むOutkastの音楽性に培われた幅広い人脈と、そこからさらに吸収したインスピレーションが、このアルバムでも全くブレていないのだ。BoiはどちらかというとAndreよりも保守的なヴィジョンの持ち主で、「俺はあくまでラップMC」と公言するほどヒップホップの価値観に殉じている。それがAndreとのコンビネーションによって予測のつかないケミストリーを生み出していたのがOutokastのOutkastたる所以だったわけだが、相方不在の苦境にあってなお、そのクセになるサウンド・アーキテクチュアを見事に表出している。
 ふたつめの魅力は、いうまでもなく彼のラップである。まだギャングスタ・ラップが市民権を得ていた90年代、BoiはToo Shortに代表されるポン引きの美学を、さもそれが当然のようにスピットしていた。00年代、ヒップホップというマーケットが飽和状態に陥ってからは、さらにフロウに磨きをかけ、どこにでもいそうな無個性な声の弱点を克服、抜群のビートワイズを身につけ、アメリカ全土から敬愛されるMCのひとりとしてのステイタスを手に入れた。そのスピットはトラックとのマッチングが第一に考えられ、テンションに合わせて細やかに声色を変えたりもする。実に芸達者なMCである。
 気難しいピアノの不協和音とトークボックス(客演表記こそ無いが、プレイヤーはあのBosko。ちなみに先行シングル《Shutterbugg》でも演奏している)に、Outkast第3のメンバー(?)Sleepy Brownが絡みつくイントロからなだれ込み、アルバムはまずクラビン・アッパーの《Daddy Fat Sax》で華々しく始まる。デビュー当時から彼をサポートしてきたOrganized Noizeによるオーソドックスなシンセサイザーと粘りつくように打ち鳴らされるドラムスの津波を器用に乗りこなすと、Outkastのきらびやかなトーンを再現する《Turns Me On》へ。気鋭のオルタネイティヴ・ヒップホップ・ユニット、VonneguttとSalaam Remi大先生を呼び寄せた先行シングル《Follow Us》では、アフリカン・ビートの厚化粧に隠れるように、エレクトロニカへのリスペクトも見せている。いかにもサウスらしいシンフォニック・バウンス《General Patton》では、隠し味にギターのディストーション・ノイズを。逆に、ほとんどパーカッション・サウンドだけで進行する変態じみた、いかにもAndreらしい《You Ain't No DJ》では、スポークン・ワードのようにくだけたフロウでBoiと張り合うYelawolf(Outkastの舎弟らしい)に見せ場を譲ったりもする。ジャングル・ビートのズンドコ節に病的なフックを狂ったように繰り返す《Tangeline》や、P・ファンクの大先輩Geoge Clinton御大と、ピンピン・ラップの大先輩Too Shortへの恩返し《Fo Yo Sorrows》のような楽曲では、まるでゲストが飛び入り参加しているかのように入り乱れる。ある意味、最もヒップホップ然としたトラックの《Shine Blockas》のほうがむしろ違和感を感じるほどのヴァラエティにあふれたアルバムは、ロック・ビートを歌混じりに軽くあしらう《Back Up Plan》で不思議な余韻を残して閉幕する。
 おそらく先月のヒップホップはダントツでこの作品がベスト・アルバムだろう。The Roots『How I Got Over』同様、初心者には敷居の高い作品であることは事実だが、どちらも噛みしめるほど味のある内容だ。紋切り型にはまり込むこともなく、自己満足のオナニーにも終わらない、極めて優れたヒップホップ・アルバム。もっとも、この作品を本当に楽しんでいるのは、他ならぬBoi本人なのかもしれないが。


テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

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ブラック・ミュージックを聴いていたりエロゲーをやっていたりするバーテンダーです。批評は基本的に辛口、読んでムカつくこともあるかと思いますが、正直なレビューを心がけていますのでご了承ください。コメント/トラックバックはお気軽にどうぞ。リンクもご自由に。

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