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【いびつな】紫影のソナーニル -What a beautiful memories-【おとぎ話】

紫影のソナーニル



  Visit Official Site

  ブランド:Liar Soft
  発売日 :2010/11/26

  シナリオ:桜井光
  原  画:AKIRA
  音  楽:Rita, Buleberry&Yogurt, マッツミュージックスタジオ

  評価:★★★★★★★☆☆☆



2010/12/7追記:
 アクセス解析を見てみたら「紫影のソナーニル 攻略」で検索をかけてこのページにいらっしゃる方が多いようで、実際に来てみたら「攻略情報サイトじゃないやん!」とガックリきた方も多いことでしょう。Ping飛ばしているので検索サイトの上の方に来るのは当然なのですが、ちょっと紛らわしいのも確かなわけで、一応簡単に攻略のヒントを書いておきます。あくまで「なるべく自力で攻略したい人のためのヒント」ですので、最初から答えがほしい人は他のサイトをあたってください。
 この作品を攻略する上で注意する点はひとつだけ。各キャラクターが《詩編》を詠む際、音声がテキストの通りに再生されない部分だけに注目すること。章の終わりに現れる新聞記事の内容はこれと関連しており、詩編で詠まれた内容と矛盾している記述の部分をクリックすると、記事が正しい内容に書き変わります。逆に間違っていると月にケタケタ哂われ、ひとつでも間違えるとアボンします。また、新聞記事のパートではセーブができないため、無用な時間を割かないためにも《詩編》が始まったらメモ帳などに書いておくとよいでしょう。通常の選択肢は事前にセーブができるため、間違えてもそれほど痛手にはならないと思います。ヒントとしては、地下世界でのリリィの行動と矛盾しない選択をしていけば確実に正解です。
:以上


 今年で11年目を数えるライアーソフトの、じつに28作目にあたる作品であり、スチームパンク・シリーズの系譜では5作目に当たる『紫影のソナーニル』。どうにもこの独特の世界観に拒否反応みたいなものがあってプレイせずにいたのだが、11月のカタログがあんな感じだし、思い切って手を出してみた。


・あらすじ
20世紀初頭、西暦1907年。

私たちの知るものとは異なる時代、
私たちの知るものとは異なる歴史を歩んだそこには、
無数の蒸気機関が充ちていた。
異常発達した蒸気文明が生み出す排煙は見る間に天を埋め尽くし、
人々から青空を奪い去った。
 
中でも、最も空が暗いとされる場所があった。
永劫に続く灰色雲と雨に覆われた廃墟、旧・重機関都市ニューヨーク。

5年前に発生した《大消失》と呼ばれる原因不明の災害によって全土が廃墟と化したかつての摩天楼、
合衆国政府によって完全封鎖され、現在では人影のひとつもないその都市へと、
ひとりの女・エリシアが足を踏み入れる。ひとつの目的を持って。

災害の中心地とされる旧マンハッタンへと向かって、女は静かに歩み始める。


一方で──

旧・重機関都市ニューヨークの“地下”とされる場所があった。
地上の誰ひとりとして、その存在を知る者はいない。

薄暗い紫の灯りに照らされる広大な地下空間。
そこには、5年前に消失した摩天楼の街並みが存在していた。
ただし、大いなる歪みを伴って。
異形へと歪み、黒色と紫影に染められた、
出口のないその地下世界《アンダーグラウンド・ニューヨーク》には、
消え去ったはずの人々が確かに存在していた。

7体の《御使い》と呼ばれる怪物の足音に怯えながら。
7体の《御使い》と呼ばれる怪物がもたらす恐怖と苦痛と死に耐えながら。
人々は、歪みの地下都市の中で、何かを待ち続けるかのように留まり続けていた。

そこへ、ひとりの少女・リリィが足を踏み入れる。
記憶の一切を持たずに。
リリィにとって、わかっていることはひとつだけ。
理由はわからない。何があるのか、誰がいるのか。なぜ、そう自分が思うのかも。
それでも、たったひとつだけ。

「マンハッタン。紫色の空の果て」
「あそこに。あたしは、いいえ、あたしだけは、行かないといけない」

──少女は目指す。遙か彼方の紫影の塔を。
──想い遺した人々の儚い影に、触れ続けながら。涙を、我知らず流しながら。

:パッケージより引用


・シナリオ
 公式サイトを見ればわかるように、人を選ぶ作品であることだけは間違いないだろうね。一本道シナリオの群像劇、とあって、成功例として多くの人が真っ先に思い浮かべるのが『カタハネ』だろうけど、そこまではいかないまでも高水準でまとめられた良作ではある。
 蒸気機関の発達した世界、というスチームパンクの大前提である土台の上に構築されたこの作品は、有り体に言ってしまえばエリシアの旅路を並々ならぬ想像力でおとぎ話に仕立て上げたようなものだ。地上世界でのエリシアの行動と、それによって得た何かしらの感情が、地下世界のリリィのそれとなって語られる。誰もいない廃墟と化したニューヨークで、それでもかつては多くの人が暮らしていた証を見つけ、それを傍らに愛する人の面影を求め旅を続けるエリシア。それに対し、地下世界で何も知らない純真無垢な少女として“生まれた”リリィは、そこで様々な人々と出会い、彼らが抱く感情をひとつづつ得、しかし戸惑いながら旅を続ける。感情は作中の言葉を借りれば「メモリー」すなわち思い出であり、それに対する執着ということだが、彼らとの出会いとふれあいの中で少しづつ成長し、同時に弱くもなっていくリリィの物語は、やがて地上のエリシアにもフィードバックしていく。この2つの視点が絶妙にリンクし始めると、この作品は徐々に本質を見せ始める。ほとんどあらゆるエピソードに元ネタとなる人物なり作品なりが存在する(後述)シナリオは、単なる焼き直しに溺れることなく独自の解釈と設定と展開で楽しませてくれるし、詩的で美しいモノローグは、もはやノヴェルというよりも絵本を読んでいる感覚に近い。作品に込められたメッセージは、「誰かが憶えていてさえくれれば、どれほどつまらないと思えた人生にも意味はあったはずだ」という使い古されたものだが、桜井さんは驚くほどスタイリッシュに語れるし、そのいびつさこそが人間らしさなのだとすれば、ここで語られる内容は全くの正論だ。一見すると単にスピリチュアルなだけのように思える小話も、考察材料がたっぷりと用意されている(結局、用語辞典なんてほとんど読まなかった)から、読み終えてから伏線をつなぎ合わせるのも面白い。個人的には、エリシアの少女時代をもう少し詳しく語ってもよかったんじゃないかとは思うが。
 問題なのは、ストーリー・テリングよりもむしろあらすじのほう。とにかく各エピソードがワンパタンで、後半はテキストと音声の差異にのみ注意を払いながら(これが攻略する上での重要なポイントとなるのでメモ推奨。新聞記事のところでテキトーにクリックしてたらゲームオーバーになっちまったw)、ほとんど流し読みになってしまう。基本的に、リリィが誰かと出会う→その人物との関わり→関係が深まったところで白きもの登場→Aの力を借りて倒す、だからね。さすがにちょっとはひねってほしかった。そのせいで、1~4章までは文句のつけようもなかったはずのシナリオが、4~最終章では何だか同じセリフを繰り返しながらチンタラと進めているような感じになってしまっている。エリシアの方にしてもウジウジしすぎだし。ただ、大団円とはいかなくても最後にほんの少しの希望と優しさをほのめかす締め方は、このライターの作品を読んでみたいと思わせるに十分だ。まぁ俺の場合、優れたストーリー・テラーの前にはプロットなんざお飾りみたいなもん、ってスタンスでレビューを書いてるんで、このシナリオはけっこう甘めの評価になっているかもね。
 で、このシナリオの評価を甘くしているもうひとつの要素がモチーフ選び。おそらく、禁酒法時代前後のアメリカが好きな人間にとって、この作品は酒が進んでしょうがないだろう。以下、俺のわかる範囲で元ネタ解説。なるべくネタバレはしないように書いてあります。

西の魔女、黄色い隧道:
どちらもライマン・フランク・ボームの児童文学『オズの魔法使い』から。といっても、俺はむしろ映画『ウィズ』のほうが記憶として強いんだが。♪道を行こう、道を行こう。荷物なんて邪魔なだけ。

マオ:
ルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』のチェシャ猫。アリスの進む先になぜか先回り、いつもニヤニヤ、何を訊いてもいじわるな応えしか返さない猫。おそらく、桜井さんのストーリー・テリングの癖は、これら児童文学に大きく影響を受けていると思われる。

ラッキー・ルチアーノ:
禁酒法時代に実在したイタリア系マフィアチャールズ“ラッキー”ルチアーノ。実際は「ラッキー・ルチアーノ」を名乗ることも呼ばれることも少なく、仲間内では「チャーリー」と呼ばれていた。ルチアーノ・ファミリーのドンであり、後に彼らを含むニューヨーク5大ファミリーによって結成された犯罪シンジケート「コーサ・ノストラ」の中心人物のひとりである。「ラッキー・ルチアーノ」という愛称は、医者も匙を投げるほどの瀕死状態から奇跡的に回復した際に、彼の親友マイヤー・ランスキーの口から漏れたもの。ちなみに、この事件が起こったのは1929年であり、史実のとおりであれば「彼は“ラッキー”ではなかった」ということになる。彼について手っ取り早く知りたい人は映画『モブスターズ -青春の群像-』を観るべし。

エリオット・ネス:
同じく禁酒法時代に実在した酒類取締局の捜査官。もっとも、借りているのは名前だけで、実際の彼はシカゴでアル・カポネを摘発すべく奮闘していた。ちなみに生年は1903年。ブライアン・デ・パルマ監督渾身の名作『アンタッチャブル』の原作となる自伝を書いた人物でもある。

アーネスト・ヘミングウェイ
言わずと知れた文豪。『誰が為に鐘はなる』『武器よさらば』。実際の彼は大の猫好きで、マオとの一幕はこれに想を得たと思われる。

「アステア気取りで犯人探し」:
タップ・ダンスの神様ことフレッド・アステアのこと。後述するジンジャー・ロジャースとも共演経験があり、また後述する『あしながおじさん』は彼の代表作でもある。

ルース=B:
大リーグのホームラン王、ベーブ・ルース。作中では彼の幼少期をある程度忠実になぞっており、実際の彼も貧しい生活を送り、学校をさぼっては野球に明け暮れていたという。

ジンジャーロジャース:
ブロードウェイを代表する女優。実際の彼女はダンスも上手く、フレッド・アステアとの共演作『空中レヴュー時代』『踊らん哉』など、数多くの名作に出演している。

サム・ショーター:
黒人でピアニスト、名前が「サム」、ここから桜井さんの好きそうなもので絞り込んでいくと、おそらく映画『カサブランカ』の登場人物だと思うんだが……これはちょっと自信ない。

ジルーシャ・アボット:
ジーン・ウェブスターの名著『あしながおじさん』のヒロイン。ジルーシャの想い人の名がミスター・ジャーヴィス(・ペンデルトン)であることからも明らか。手紙のやりとりだけでシナリオを進行させる斬新な手法で一世を風靡した名作である。ちなみに辻仁成さんの『愛をください』は、日本版『あしながおじさん』といえる作品。必読。

 スチームパンク・シリーズの他の作品もこういった時代のモチーフによって作品を活気づかせているのだとしたら、他の作品も読んでみたいところだが、それよりむしろ酒でも飲みながら桜井さんと語り合ってみたい気持ちのほうが強い。


・グラフィック
 AKIRAさんの絵は今まで見たことがなかったのだが、『Steins;Gate』のhukeさんみたいな感じで、良くも悪くも色使いにクセが強い。迷い線をわざと残した太い輪郭、影の部分も唐草やペイズリーのようなパターンで賑やかに、立ち絵の背景には毒々しいぐらいのパステル・カラー。普通のテキストADVだったら「うげー」と拒否反応が出るところだけど、幸いにもこのパンキッシュ・ゴシックな世界観では適材適所。不気味でありながら楽しげでもある人物画は、間違いなくこの作品で活きているし、いったいどうしたらこんなディテールを思いつくのか不思議なぐらい、人+@のキャラクターを表現している。人と機械の自然な融合。


・音楽
 ジャズとクラシックが半々ずつで、そのどちらも意外なぐらい出来がいい。ベースギターの代わりにチェロとヴィオラを、ビートのベースになるのはキックではなくスネアとハイハット。そこにアコーディオン、ハーモニカ、ヴァイオリン、アルト・サックス、ピアノといったアコースティックなオーケストレーションを重ね、突出してはいないがまとまりのあるトラックをさりげなく配置している。間違いなく今年のマッツのベスト・ワーク。特に地下世界のメイン・テーマである《彷徨う少女/リリィ・ザ・ストレンジャー》や《笑顔/リリィの心》など寓話的なトラックは、ついついテキストを読み進める手が止まってしまうほどだ。
 歌曲はどちらもBuleberry&Yogurtが担当している。全体から見ればOPの《rosa morada》のほうが世界観に沿っているが、切なくも力強いEDの《Wisteria》は、この奇妙な物語を総括するにふさわしい楽曲だろう。Ritaさんこういうの好きそうだもんなぁ。


・声優
野月まひる, かわしまりの, 古河徹人, 高槻つばさ, 小次狼, 蘭丸, 桜川未央,
高井戸雫, 榛名レン, 柚季, 杉原茉莉, 金田まひる, 胸肩腎, 小倉由衣, etc.

 目立って有名な人はいないものの、誰もが楽しげにキャラクターを演じているのがよく判る。「こんなもんでいいでしょ」って姿勢がほとんど見られないのは、エロゲーにしては珍しいんじゃないかな。何だか蘭丸さんのジャガーマンだけは最後まで無理だったけど。ブエノス・ノーチェス!(笑


・演出/ムーヴィー
 ヴィジュアル的には特筆するような演出技法は全くなし。文章的な演出でいえば、モノローグを音読させたり、テキストと違うことを言わせたりと、ADVの特色を活かした手法がいくつかあるが、ブランドがブランドなだけに最初はバグかと思った(笑


・エロ
ミリア×ピーター:1 マオ×ルチアーノ:1 ルシャ×ルース:1
ジンジャー×サム:1 ジルーシャ×ジャーヴィス:1 A×リリィ:1

 俺は基本的にエロシーンは読まないんだが、困ったことにエロの最中に例の“地下の詩”をキャラクターが読んでくるため飛ばせない。濡れ場に伏線を置くのは正直やめてほしいんだよなぁ。そしてA、射精の前にカウントダウンすんな(笑


・システム
 最近では初回特典にバグをつけるサーヴィスはやめたようで、少なくとも俺の場合は目立った不具合は見当たらなかった。仕様的な面では個人的に、ウィンドウが非アクティブになったときに動作を一時停止するのはやめてほしかった。


・総評
 2010年の締め括りにふさわしい出来。体験版をやってみて、ついていけそうだと思ったら是非プレイしておくべき。少女向けファンタジー・コミックのような世界観が好きならドンピシャでしょう。オカズとしてエロゲをやっている人からすればクソほどの価値もない作品だろうけど。過去のスチパン作品も漁ってみましょうかね。


テーマ : エロゲー
ジャンル : ゲーム

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ブラック・ミュージックを聴いていたりエロゲーをやっていたりするバーテンダーです。批評は基本的に辛口、読んでムカつくこともあるかと思いますが、正直なレビューを心がけていますのでご了承ください。コメント/トラックバックはお気軽にどうぞ。リンクもご自由に。

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